「持たざる者」であるぼくは、自転車のオーバーホールに二万円も三万円も出せないのだ。自転車屋さんに三万円もお支払いするのは、「持てる者」であるお金持ちに任せておけばよい。
そんなわけで、この数年間乗車しまくっているBianchi「ZURIGO」の分解・洗浄・再組立てを自身の手で行うことにした。ちなみに、いずれ訪れる「海外からフレーム等を取り寄せての組み立て」に向けた練習という意味合いもある。
台風が去った朝、ぼくの暮らす森にSHIMANO社のロゴが入った箱が置かれていた。
— 究極アイロニィ (@KamakuraSnufkin) 2018年10月1日
というか、運送会社のおじさんが届けてくれたものをぼくが置いた。
これから「自前オーバーホール&色々換装」を始めます。 pic.twitter.com/sJWaA1sXFO
こんな感じで、換装したい色々が届いたので、作業を開始。……したのはよいのだけれど、クランクが外れないのですな。
これ。問題のクランク。まず、町田ビアンキのこども店長がグリスをケチったことにより、完全に、アブソリュウトリィなまでに固着している。
そして、誰もが愛してやまない超絶ユーザーフレンドリーなSHIMANO社様が創造なさった「よく考えられた構造ですな」「すごいですな」と誰もが絶賛するクランクと違い、このうんこFSA社の駄クランクはバカみたい(暴言)な機構が採用されている。
上記2段階のうんこ的状況により、このクランクは全くもって外れないものとなってしまっていたのだ。
ちなみに、このFSAの機構についてはこちらのブログで詳細が語られている。
で、例によってまいっちんぐマチコ先生状態に陥ったぼくは、とりあえず近所のサイクルベースあさし(江戸っ子)の門をたたくこととした。
こんにちは!クランク外してください!!
あさしのさわやか青年は開口一番「ネジ山なめちゃってますねー。これは無理っすねー。」と。
そうなのだ。ぼくが渾身の力でもってボルトを回したことにより、クランク側のネジ山はすっかりなめらかツルツルになってしまっていた。ボルトを回した際に、ねじ接点から「銀色の細っそいリング(つまりネジ山部分)」が生成されていたから、イヤな予感はしていたのだけれど。
サイクルあさしの青年は、FSAの代理店に専用の工具がないか訊いてくれたりと頑張ってくれたけれど、結局解決はしなかった。でもありがとうね、あの時のあさし青年くん。
意気消沈して帰宅したぼくは、「締め付けている箇所を切断して締め付けテンションを緩めてやれば外せるはずだ」と思い至る。
で、ウェッブサイトを調べていると、このようなブログが見つかった。
全く同じクランクで、全く同じ目に遭っているひとがいた。この千葉のお店のおやじさんは、それをエアソウで切断したらしい。ぼくはエアソウなどという高価な道具は持っていない。なにしろ「持たざる者」なのだから。「貧しき民」なのだから。そんなわけで、糸鋸を用いることにした。
用意したもの。
■糸鋸
こんな感じのやつ。意外にも木工用の、刃がらせん状になっているスパイラル刃のものが使いやすかった。ちなみに、すぐに切れてしまうから替え刃は潤沢に用意しておいた方がいいヨ!!
■エーゼットのいつもの油
切削油がわりに。
■ニトリル手袋(軍手もあるとなお良い)
■使い捨てマスク
■GUのかっこつけ用ダテメガネ
アルミ紛が身体に付着すると、なんだか健康に悪そうだからネ!!
とりあえずやってみっか!オラ、ワクワクすっぞぉ!(Z戦士)
ということで、作業開始。クランクはアルミ製なので、比較的すんなりと刃が入っていく。ある程度切れ込みが入ったら、マイナスドライバーを打ち込んでみる。
びくともしなかったのでイヤになり、近所のケーキ屋さんへ出かける。世間はハロインの季節ということで、体長2メートル以上はゆうにあるこわおじさんが迎えてくれた。『レ・シュー』のケーキ、最高じゃ!
ケーキによりモチベーションが回復したぼくは、FSAに対する呪詛を唱えつつ一心不乱に鋸を動かす。三箇所程度切れ込みを入れて力を加えると……。
アルミが千切れるようなミチミチとした独自の感触があったのち、はずれました。 「パキッ!」ではなく「ミチミチ」なの。
あとはシャフトも抜いて。
ゴミの完成です!
何事も、やってやれないことはないのだなあ。
今回はクランク切断で終わってしまった。お金をかけない「自前オーバーホール」については、また後日まとめようと思う。
かっこよいの、できたよ。#ロードバイク pic.twitter.com/LLuSgFBm1b
— 究極アイロニィ (@KamakuraSnufkin) October 19, 2018