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「かねもうけブログ」ではありません。

持たざる者による、ロードバイクの自前オーバーホール。1

 持たざる者、貧しき民による「ロードバイク(厳密にはシクロクロスだけど)の自前オーバーホール」。

 ロードバイクのオーバーホール、ここでは分解・洗浄・パーツ交換・再組立てを指すわけですが、これを自転車屋さんに頼むと、平気で「パーツ代を除いた工賃のみで3万円になりやす」とか言われてしまうわけですな。

 

 3万円!3万円もあれば、ユナイテッドアローズジャーナルスタンダードで素敵なコートを買える!或いは『すきやばし次郎』でディナーもいただけるじゃないか!

 

 いや、そうじゃない。

 問題は、「3万円という(ぼく的には)莫大なお金を費やしたところで、必ずしも最良の結果を得られるとは限らない」という点なのだ。

 

 ぼくはこの数年間、かなり多くの自転車屋(とその店員ちゃん)を観察してきた。

 そこで感じたことは、「なんかアレだな。みんな、かなりふわっとしてんな。作業クオリティとか、ピンキリ激しいな。」ということ。

 もちろん、当たりの店員ちゃんもいるにはいるが、かなりのレアキャラ。大多数は「このぼうや、大丈夫かしら?」と思ってしまうような感じ。

 

 ただ、これに関しては彼らを責めることはできない。

 彼らの技能は、「時間をかけず大量に自転車を組み立てること」であって、「一つの自転車を丁寧に寸分の狂いもなく組み立てること」ではないのだから(「太客」をつかまえることが重要な個人の店で羽振りの良いところを見せつければ、もしかしたら丁寧に、思い通りに組み立ててくれるかもしれない)。

 そいつの性格によるところが大きいけれど、大多数の店員ちゃんは「走行の安全性に支障がない部分」に関しては適当であり、いい加減であり、「俺のじゃないから多少センターがズレていようがロゴが斜めっていようが関係ねえっす」なのである。

 そいつが「関係ねえっす」と思うことも、たった一台の大切な自転車を預ける顧客からしたら重大な事柄なのだけれどもね。

 ちなみに、ぼくがこのような思想を持つに至った経緯については、この「ビアンキストア町田事件」に詳しい。

maisondefuwafuwa.hatenablog.com

 

 とにかく、そうしたアタリハズレの不確定要素や不快な目に遭うリスクの大きいことに3万円は費やせない。なにしろ「持たざる者」なのだから。

 

 そんなわけで、てめえでオーバーホールをすることにしました。自分で行えば、その結果はすべて自身の責任ということで納得できるし。

 実験台になるのは、小生のナイス自転車ことBianchi謹製ZURIGO号。はじめての分解・組み立てです。

 せっかくのおおがかりな作業なので、記録に残しておこうと思う。

 

1.観察・記録

 オートバイやクルマになると専門的な知識や技能、設備が必要だけれども、自転車(ロードバイク)に関しては普通の知能をもった普通のおとなであれば、何の問題もなく可能だと思うのだ。

 そもそも自転車はとても原始的な乗り物。外から眺めただけで、その構造は一目瞭然。「ここがこうなって、ここにつながって、ここが動くわけだな。」ということがまるわかりなわけです。大切なのは、それを再現すること。

 なので、まずは細部にいたるまでよく観察し、全体から各パーツ、規格が刻印された場所等を写真に収める。

 

2.工具等の発注

 「1」の記録をもとに、必要と思われる工具や消耗品を購入。なお、下に挙げた物品にはもともと使用していた物も含まれています。

BIKEHAND YC-728 シマノホローテック用TOOL BOX

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PWT インナーワイヤープライヤー(結局使わなかったヨ!)

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 PWT PCT-02 ワイヤーカッター 自転車用

 

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 シマノ プレミアムグリス チューブ入り 100g(せっかくの自前オーバーホールなんだから、たっぷり塗りたくっちゃお♡)

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ピンセット

養生テープ

ニトリル手袋

キッチンスポンジ

ウタマロ キッチン(謎の中性洗剤だヨ!ウタマロ!)

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AZ(エーゼット) KM-001 極圧・水置換スプレーとパーツクリーナー

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 クレシア ワイプオール X60(ただの紙だヨ!ぼろきれで代用してもいいよネ!)

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 MINOURA(ミノウラ) 後輪ハブ軸固定式ディスプレイスタンド

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シマノ SUSロードブレーキインナーケーブル(ステンレスなら何でもよかったんダ!)

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シマノ SUSシフトインナーケーブル

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  工具と消耗品の類はこれぐらいだヨ!結構多いネ!

 正直なところ、生涯でたった一度のオーバーホールだったら自転車屋のおやじに投げてもよかったと思う。でも、ぼくの場合、今後は少なくとも年に一度は2台の自転車の分解・清掃をするつもりなので、多少のイニシャルコストがかかっても色々と揃えてしまった方が安上がりなのだ。それに、いずれ新しくフレームから組み立てる機会もあるだろうし。

  ちっとアレですな、思いのほか長くなっちまいましたな。とりあえず、今回はここまでにしたいと思います。

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 今回、マジメになってしまったので、にぎやかしにおいしいパンケーキでも置いておこう。

FSAのクランクを自力で切断する系男子

 「持たざる者」であるぼくは、自転車のオーバーホールに二万円も三万円も出せないのだ。自転車屋さんに三万円もお支払いするのは、「持てる者」であるお金持ちに任せておけばよい。

 そんなわけで、この数年間乗車しまくっているBianchi「ZURIGO」の分解・洗浄・再組立てを自身の手で行うことにした。ちなみに、いずれ訪れる「海外からフレーム等を取り寄せての組み立て」に向けた練習という意味合いもある。

 

  こんな感じで、換装したい色々が届いたので、作業を開始。……したのはよいのだけれど、クランクが外れないのですな。

https://pbs.twimg.com/media/DqKITV8VsAA3FMS.jpg

  これ。問題のクランク。まず、町田ビアンキこども店長がグリスをケチったことにより、完全に、アブソリュウトリィなまでに固着している。

 そして、誰もが愛してやまない超絶ユーザーフレンドリーなSHIMANO社様が創造なさった「よく考えられた構造ですな」「すごいですな」と誰もが絶賛するクランクと違い、このうんこFSA社の駄クランクはバカみたい(暴言)な機構が採用されている。

 上記2段階のうんこ的状況により、このクランクは全くもって外れないものとなってしまっていたのだ。

 

 ちなみに、このFSAの機構についてはこちらのブログで詳細が語られている。 

australe-celeste.blogspot.com

 で、例によってまいっちんぐマチコ先生状態に陥ったぼくは、とりあえず近所のサイクルベースあさし(江戸っ子)の門をたたくこととした。

 

 こんにちは!クランク外してください!!

 あさしのさわやか青年は開口一番「ネジ山なめちゃってますねー。これは無理っすねー。」と。

 

 そうなのだ。ぼくが渾身の力でもってボルトを回したことにより、クランク側のネジ山はすっかりなめらかツルツルになってしまっていた。ボルトを回した際に、ねじ接点から「銀色の細っそいリング(つまりネジ山部分)」が生成されていたから、イヤな予感はしていたのだけれど。

 サイクルあさしの青年は、FSAの代理店に専用の工具がないか訊いてくれたりと頑張ってくれたけれど、結局解決はしなかった。でもありがとうね、あの時のあさし青年くん。

 

 意気消沈して帰宅したぼくは、「締め付けている箇所を切断して締め付けテンションを緩めてやれば外せるはずだ」と思い至る。

 で、ウェッブサイトを調べていると、このようなブログが見つかった。 

jitekichi.blog26.fc2.com

  全く同じクランクで、全く同じ目に遭っているひとがいた。この千葉のお店のおやじさんは、それをエアソウで切断したらしい。ぼくはエアソウなどという高価な道具は持っていない。なにしろ「持たざる者」なのだから。「貧しき民」なのだから。そんなわけで、糸鋸を用いることにした。

 

  用意したもの。

■糸鋸

BIGMAN(ビッグマン) 精密糸鋸 替刃5本付 IN-010

BIGMAN(ビッグマン) 精密糸鋸 替刃5本付 IN-010

 

  こんな感じのやつ。意外にも木工用の、刃がらせん状になっているスパイラル刃のものが使いやすかった。ちなみに、すぐに切れてしまうから替え刃は潤沢に用意しておいた方がいいヨ!!

 

■エーゼットのいつもの油

 切削油がわりに。

 

ニトリル手袋(軍手もあるとなお良い)

■使い捨てマスク

■GUのかっこつけ用ダテメガネ

 アルミ紛が身体に付着すると、なんだか健康に悪そうだからネ!!

 

 とりあえずやってみっか!オラ、ワクワクすっぞぉ!(Z戦士)

 ということで、作業開始。クランクはアルミ製なので、比較的すんなりと刃が入っていく。ある程度切れ込みが入ったら、マイナスドライバーを打ち込んでみる。

 

 びくともしなかったのでイヤになり、近所のケーキ屋さんへ出かける。世間はハロインの季節ということで、体長2メートル以上はゆうにあるこわおじさんが迎えてくれた。『レ・シュー』のケーキ、最高じゃ!

 ケーキによりモチベーションが回復したぼくは、FSAに対する呪詛を唱えつつ一心不乱に鋸を動かす。三箇所程度切れ込みを入れて力を加えると……。

 アルミが千切れるようなミチミチとした独自の感触があったのち、はずれました。 「パキッ!」ではなく「ミチミチ」なの。

 あとはシャフトも抜いて。 

 ゴミの完成です!

 何事も、やってやれないことはないのだなあ。

 

 今回はクランク切断で終わってしまった。お金をかけない「自前オーバーホール」については、また後日まとめようと思う。